研究概要 |
半導体2次元電子系アンチドット三角格子における量子振動伝導を系統的に調べた.ゼロ磁場近傍のAAS振動とAB型振動,および量子ホール遷移効果のAB型振動の3種の量子干渉効果についてその温度依存性を詳細に測定し,有限温度におけるデコヒーレンス機構の違いを明らかにした.短周期1次元平面超格子を作製しその磁気抵抗を精密に測定したところ,これまでよりも低磁場領域において新しい抵抗振動現象を見出した. 電流による磁壁移動に対するジュール熱の効果を調べた結果,磁壁移動が起こる電流密度では試料温度がキュリー点近くまで上昇していることがわかった.磁性細線中に付与したくびれからの磁壁の脱離磁場の温度依存性を測定することでくびれのピニングポテンシャルの大きさを評価した。トンネル障壁を介したNi_<81>Fe_<19>からAlへのスピン注入によるスピン依存化学ポテンシャルを測定した. 電磁濃縮法と高周波伝導測定により,擬1次元導体NbSe_3の低温相における300Tまでの超強磁場磁気抵抗を1次元軸に垂直な2つの結晶軸方向で調べた.量子極限下の磁気抵抗は共に隣接ゾーンの同一フェルミ面間のトンネル結合によると考えられる単調減少を示し、傾斜磁場下でのホフスタッター準位構造形成を示唆する結果となった.また有機伝導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4の傾斜磁場下での逐次転移が磁場方位の方位角に依存せず天頂角のみに依存することを見出し,2次元面内の軌道効果に起因することを示した.軌道効果とゼーマン効果を考慮した2次元模型について密度応答関数を評価し,逐次転移を定性的に説明した. 強磁性体における電流駆動磁壁移動に関して,スピン移送と運動量移送の微視的機構を理論的に定式化した.
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