研究課題/領域番号 |
16076209
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
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研究分担者 |
室町 英治 物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, 所長 (30343833)
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キーワード | 超伝導 / 物質開発 / コバルト酸化物 / フラストレーション / 核磁気共鳴 / 中性子散乱 / ソフト化学合成 / 構造解析 |
研究概要 |
Na_xCoO_2・yH_2Oの超伝導機構の解明と新超伝導物質開発を主目的に研究した。 (化学的観点から) 水和コバルト超伝導体の厳密組成はNa_x(H_3O)_z(H_2O)_nCoO_2である。ソフト化学合成手法を活用することで、ナトリウム量(x)とオキソニウムの量(z)を制御して系統的に試料を作成することに成功し、同系に関する超伝導相図を作成した。コバルト価数を+3.4に保った相図では、z/xが変わると、z/x=0.7〜0.8近辺に非超伝導相Mが出現し、超伝導領域はこの非超伝導相で分断されることが明らかになった。M相は磁気秩序をもつ可能性が高い。また、Mに近い組成の超伝導相(z/x=0.68)に強い磁場を印加するとM相への転移が誘起される。これらは、超伝導の発現機構を追及する上で非常に重要な知見である。 (物理的観点から) Na_xCoO_2・yH_2Oばかりでなく、母物質のNa_xCoO_2や他の強相関電子を持つ物質系をも対象に広い視野から物性研究を進めた。特にNa_<0.5>CoO_2が示す二つの相転移がどのような素性のものであるかについてNMRと中性子散乱による詳細なデータをもとに、これらの電子系の特徴を明らかにしたことは、他グループを含めた多くの研究・考察に極めて大きな影響を与えた。また、超伝導相Na_xCoO_2・yH_2Oの単結晶を用いたNMR研究は他ではなし得ていないもので、そこで確立された"ナイトシフトが結晶軸と磁場方向の関係によらず、超伝導の出現に伴って消失していく"という結果は、クーパー対がsinglet状態にあることを端的に示す。大型単結晶を用いた中性子非弾性散乱で磁気励起が見られないことも、これまでの実験で明らかになりつつある このほか、銅酸化物超伝導体の"ストライプ"秩序がもたらすフォノン異常やNd_2Mo_2O_7の異常ホール効果についての結果が発表を待っている。
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