研究課題
酸化物高温超伝導体や重い電子系化合物の発見以来、強い電子相関に由来する金属・非金属転移をはじめとした多彩な現象が注目を集めている。本研究の目的は、「新奇な物質から新しい物理を創る」視点を軸に、3d・4d・5d系遷移金属酸化物の電子相関と超伝導の関連性を明らかにし、エキゾチック・ペアリング超伝導体の探索・創製と物性評価を目指すと共に、その機構の理解を深めることにある。このために、パイロクロア構造や二次元三角格子等の層状構造をもち、強い磁気的相互作用やスピン・フラストレーションを内在した遷移金属酸化物の物質群等において新奇超伝導体の探索を行い、マクロ・ミクロ(MR測定)両面から、その電子状態や磁気的性質を調べてきた。更に、摂動計算を基盤とした超伝導理論を適用し、s波以外の異方的電子対形成によるエキゾチック超伝導機構について解明すべく研究を行った。これまで、二次元三角格子Co酸化物系超伝導体NaxCoO2・yH2Oに関して、超伝導相図を明らかにし、磁気相と超伝導相とが密接な関係があることを明らかにし、また、核磁気共鳴や核四重極共鳴による核スピンの縦緩和時間の測定を行い、三角格子の磁気相関を媒介したスピン三重項超伝導体である可能性が高いことを実験的に明らかにした。すなわち磁気相(M)とこれを挟む二つの超伝導相(SC-I, SC-II)の存在を明らかにし、その相図を元に、本物質において一度消失した超伝導性が再び現れ、(SC-II)→(M)→(SC-I)と変化するリエントラント現象を詳細に調べ、磁気相と超伝導相とが密接な関係があることを確立した。また、核磁気共鳴や核四重極共鳴による核スピンの縦緩和時間の測定を行い、三角格子の磁気相関を媒介したスピン三重項超伝導体である可能性が高いことを実験的に明らかにした。さらに、理論的にも軌道縮退と強磁性揺らぎを介して6個のホールポケットがp波またはf波のスピン三重項ペアリングを形成する超伝導機構が有力であるごとを明らかにしている。
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