研究概要 |
p 電子系超伝導体CaAlSi, Y_2C_3における新奇な結晶構造とその超伝導状態との相関関係を詳細に調べた。CaAlSiでは、2倍,5倍,6倍周期といった結晶構造の周期性の変化に伴い、その結合の強さと異方性が異なることを見出し、Y_2C_3では、詳細な比熱及びNMR測定からMgB_2に続く2つの超伝導ギャップ有する超伝導体であることを示唆する結果を得た。 モット転移およびリフシッツ転移の量子臨界点が従来の量子臨界点と全く異なる性格を持つことを示した。上記2つの相転移では量子臨界点を超えてさらにトポロジーの変化によって生じる量子臨界線が延び、量子臨界点はトポロジー転移と対称性の破れの転移の会合点となる。この会合点(マージナル量子臨界点)は波数ゼロのキャリアゆらぎの発散に代表される稀有な臨界現象を示し、新奇な超伝導メカニズムの源泉となることが示された。 第一原理計算に基づき硼素ドープダイヤモンドの電子状態と構造安定性を議論した。ドープされた硼素は炭素置換位置もしくは格子間位置に入ると思われるが、全エネルギー計算は置換位置の安定性を与えた。置換位置硼素の2s,2p軌道は近接炭素2s,2pとの軌道混成が強く、価電子帯の頂に正孔状態を形成する。最近接炭素位置での1s準位コアシフトによって炭素K吸収スペクトルでの吸収端近傍の振る舞いがよく説明された。 AlV_2O_4における七量体形成にについて解析を行った。Vのt_<2g>軌道の異方性を考慮した電子間相互作用によって、従来考えられていたサイト上の電荷整列ではなく、ボンド上の電荷整列およびそれに伴ったスピンシングレット状態の発現が導かれ、これが帯磁率等の実験データを再現することが示された。
|