研究課題/領域番号 |
16077201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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研究分担者 |
宮田 隆志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90323500)
上野 宗孝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30242019)
山村 一誠 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・赤外サブミリ波天文学系, 助手 (40322630)
岡本 美子 茨城大学, 理学部, 助手 (10343469)
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キーワード | 遠・中間赤外線 / 星周円盤 / 星間塵 / 惑星系形成 / 赤外線衛星 / ASTRO-F / 中間赤外サーベイ観測 / 中間赤外線分光器 |
研究概要 |
本年度は、以下の3点を中心に研究を行った。(1)地上望遠鏡による星周円盤の中間赤外線分光観測を行い、星周円盤中のダスト・ガスの物理状態の解明を行った。特にβPictorisの周りのダストについては、空間分解されたスペクトルから、惑星の元となる粒子の帯の存在を検出するとともに、結晶珪酸塩が中心星付近に集中していることを見いだし、星周円盤中での結晶化の過程を明らかにした。HD145263の星周円盤の観測では、中間赤外線でのバンド中心波長が異なるダストが存在しているものを検出し、サイズ、成分による相違である可能性を示した。また、赤外線衛星ISOにより星周円盤中に水素分子が検出されとされる天体を地上分光観測したが、いずれも検出できず、観測された水素分子の輝線は円盤起源ではなく、広がった領域から放射されている可能性を示唆するとともに、水素分子が検出される条件を明らかにした。さらにM17星生成領域では、近赤外線でシルエットディスクを検出し、電波観測などから、この中心星がこれまで提唱されていた大質量星ではなく、質量の小さな星であることを定量的に示した。(2)ASTRO-F搭載の近・中間赤外線カメラ(IRC)による中間赤外線サーベイ観測モードを、地上実験により実証し、その実現を可能とした。この中で、サーベイモードの検出限界及び空間位置精度も測定し、目標としていた性能を十分に達成した。これに基づき、ASTRO-Fによる星周円盤のサーベイ観測計画の検討を始めた。IRCは現在、最終的な地上試験を行っている。また地上観測により、軌道上での感度較正を行うための標準星の観測・解析を行っている。(3)地上中間赤外線撮像・分光装置MICSの改造のための設計検討を行い、改造の準備を始めた。主な改良点は、将来の衛星観測への発展を考慮し、イメージスライサーを搭載することと、ピエゾを用いて低温で精度のよい制御を行う機能を加えることである。
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