研究課題
本年度は以下の実績をあげている。1.ガリウムヒ素(GaAs)半導体による検出器アレイの開発高純度GaAs結晶を用いた波長200〜300μm帯用検出器は、10-16Wの入射エネルギーを検出できる性能に達した。この検出器を用いて、集光ホーン付きのキャビティに検出器を収めたもの8素子を並べたアレイ検出器を試作し、評価を行った。このアレイを以下に述べる気球望遠鏡に搭載した場合、500秒程度の積分時間でFluxが数Jy(1Jy=10-26W/m2Hz)程度の天体が検出できる(波長分解能λ/Δλ=10)。検出器性能とホーン形状には改良の余地があるものの、十分に先進的な観測が行える性能である。2.気球搭載望遠鏡の開発気球姿勢制御による指向方向の誤差を補正するためのイメージスタビライザー機能をもった望遠鏡として、姿勢制御誤差を半幅0.5度としても十分な性能をもった補正を行える光学系の設計を完成した。これは主鏡の検査がしやすい球面主鏡を採用し、広視野で大きな指向誤差補正ができる光学系とした。また、鏡の重力による変形を計算して、軽量鏡の構造設計を行った。この設計に基づいて主鏡と副鏡の製造をアルミ合金の超精密切削加工によって行った。3.Si : Sb検出器Si : Sb検出器の128x128素子のものを米国DRS社に製造してもらい、入手した。この検出器の読み出し部分だけのものを17年度に入手しており、これを用いて検出器マウントおよび検出器コントロール回路の開発と試験を実施した。赤外線感光層無しでも可視の光には感じることを利用して、画像取得まで出来る撮像光学系を完成させた。19年度には18年度に入手した検出器をカメラに搭載して、全体としての試験を行う予定である。
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