研究概要 |
摩擦駆動のメカニズムに関して,動作状態の測定と駆動プロセスのモデル化による検討を行なった。動作状態の測定は,ステータの裏面から,裏打ちのために設置したガラスを透して,振動速度を測定するレーザドップラ振動計のレーザ光を入射して行なった。レーザ光をスライダの突起面に正確に照射するため,長焦点レンズを装着したマイクロビデオスコープにてレーザスポットをディスプレイ面上で観察しながらセットアップを行った。この観測実験により,これまで検討してきた摩擦駆動プロセスの理論的な解釈に対して,実験的な裏付けを行なうことができた。今後より精緻なモデル化を進め,駆動プロセスに関する検討を行う。 弾性表面波モータの動きをコントロールする試みとして,モータ特性の持つ不感帯を取り込んだモデル化を行い,制御アルゴリズムの実装と検証を行なった。不感帯を制御則へ取込むことで,線形化が行なわれ,比較的単純な制御方式を用いることが可能となることを期待した。駆動電圧に対する無負荷速度特性の実測値より不感帯のモデル化を行った。制御アルゴリズムに関しては,PCに実装したDSPボード上に実装した。 速度制御を行なったところ,指令値通りほぼ正弦波状の速度応答を実現することができ,ゼロクロス付近での応答の劣化も少なく良好な応答となった。しかし,移動方向に対する応答の差異,速度状態による応答の差異などが明らかになった。これらについては,モータの非線形性に関するモデル化が充分ではなく,例えば推力の駆動電圧依存性などのパラメータを制御則へ導入する必要があることなどを明らかにした。今後これらの改良を進めていく。また位置制御に関しても今後行う。
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