研究概要 |
動作解析のため,コンタクトメカニクスの概念を適用して,ステータとスライダの接触・摩擦に関するモデル化を進めた。単独の突起が,ステータ面に接触するときに発生する垂直方向の応力と水平方向の応力を,ステータ表面およびスライダ突起基礎面について解析し,単純な解析解として表されることを明らかにした。また,駆動面における表面電荷と水分による影響が,駆動状態に大きく影響している可能性があるという知見を得た。特に,摩擦電化による吸着現象が,動作の不安定性に大きく影響している可能性を指摘し,今後の重要な研究課題であることを指摘した。 制御に関しては,不感帯の変動や停止特性のモデル化などの検討により,より精緻なプラントのモデル化と線形化についての検討を行った。その結果,それまで一般的には,不感帯の閾値は始動時と停止時で異なると考えられていたが,測定時の応答の遅れにより閾値が変動しているように観測されているだけであることを明らかにした。不感帯での応答特性を求め,停止特性のモデル化を行うことで,モータの精密な等価モデルを明らかにし,ブロック図表現を実現した。 非線形な応答特性を持つ弾性表面波モータを,負帰還制御により良好な制御特性を実現するためには,プラントとして見たときに線形化されている方が,これまでに研究された優れた制御手法を適用できることから,線形化手法を検討し,その手法を考案した。この線形化手法に関しては,一般の超音波モータに広く適用できる技術であり,特許化を進める予定である。速度制御と位置制御に関して実装についての検討を行った。
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