研究概要 |
制御用DSPボードと高分解能リニアスケール(分解能34pm)を用いた実験システムを新た作製し, 速度制御および位置決め制御について検討を行った。この制御システムの構築には, これまでに作成した弾性表面波モータのプラントモデルにより線形化プラントとして扱えるようにし, PID制御により制御アクチュエータとしてその性能をテストした。制御性を検討した結果, 低速度域での制御性に問題があるため, バースト駆動の持続時間を変化させることで, 低速駆動の実現を図った。位置決めと速度制御に関しての制御手法に関しまとめた。また, リニアスケールの分解能をさらに拡張するために, 独自のディジタル信号処理方式を用いた, 復調器を研究開発し, FPGAを用いた実装を行い, 制御システムに組み込めるように, 速度応答性と高分解能を両立させたシステムを別途開発した。 また, より性能を向上させるために, 摩擦駆動の物理モデルシミュレーションソフトに改良を加え, 動作状況の検討を進めた。より実際の動作状況に合わせるため, 突起の配列を考慮した計算アルゴリズムを導入した。また, 突起での機械出力への変換と, 摩擦による損失の割合を負荷特性ととも計算したところ, 摩擦による駆動力変換効率が最大で60%に達することが見積もられた。現在のスライダ突起配列の状態で, 高い摩擦駆動効率が実現できていることが推測された、さらに, 負荷が大きく速度が低い領域, すなわちモータの始動時には大きな摩擦ロスが起きている様子がわかり, 始動/停止時の駆動状態が摩耗対策から重要であることが示された。
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