研究概要 |
本研究ではミリメートルサイズでパワー密度が高いマイクロアクチュエータの実現を目的とし,機能性流体を用いたニューアクチュエータの具現化を目指す.本年度の成果は以下のとおりである. 高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する電界共役流体(ECF)を利用したECFマイクロレートジャイロを提案し,プロトタイプを試作した.上記ジェット流に角速度に起因するコリオリカが作用した際の偏流をホットワイヤによって検出する新たなレートジャイロであり,機械的可動部を必要としないため,小型で長寿命,耐振動性に優れると考えられる.特性試験の結果,少なくとも±400°/sの範囲で良好な角速度検出が可能であることを明らかにした. 上述のECFを利用して,マイクロ人工筋セルを改良し,集積化による出力向上を確認した.本セルは軸方向に繊維強化されたゴムチューブの内圧をECFジェットより制御するアクチュエータであり,液圧駆動でありながら外部からの給電のみによって駆動できる.直径10mm,高さ12.5mmのセルを4個(2×2)直並列化したECF人工筋を実現した. 電界で粘度制御できる電気粘性流体(ERF)を用いたERバルブの一方の電極を間隔方向に可動とし出力変位を得る構造で,外力による変位を抑制する位置フィードバック機構を内蔵したスマートアクチュエータを提案し,直径10mm,厚さ2.5mmのアクチュエータを試作し,その特性を実験的に明らかにした. また,管路内の流体慣性による液柱分離を利用し,吐出行程だけでなく吸入行程でも吐出を行うことで高出力化を図った圧電マイクロポンプの高出力密度化を図るため,ピストンの上下にポンプ室を設け,交互に吐出を行うマイクロポンプを提案,試作し,実験的にその特性および問題点を明らかにした.
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