研究概要 |
本研究ではミリメートルサイズでパワー密度が高いマイクロアクチュエータの実現を目的とし, 機能性流体を用いたニューアクチュエータの具現化を行った. 本年度の成果は以下のとおりである. 高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する電界共役流体(ECF)を駆動源としたマイクロアクチュエータとして3種類ECF人工筋を提案した. さらにこのECF人工筋を用いた小形軽量なECFマイクロマニピュレータを提案した. 具体的には, 収縮動作を行う(a)ECFマイクロ人工筋セルおよび(b)ECF-MFHA(ECF-Micro Flexible Hydraulic Actuator)により関節を駆動し, 屈曲動作を行う(c)ECFマイクロフィンガで構成された把持動作をおこなうECFマイクロマニピュレータを実現した. また, 上述のECFを利用したECFマイクロレートジャイロの小形化および低電圧駆動化を行った. 角速度検出が可能な最小駆動電圧は従来の1.1kVから0.62kVに低電圧化できた. 小形化として, 流路体積を従来の3分の2である8.5×14×t1.5mm^3にできた. 樹脂材料SU-8の流路と薄膜電極から成る薄いカンチレバー形の柔軟な構造で電圧印加による粘度変化で電気粘性流体(ERF)の流れを制御するフレキシブルERマイクロバルブとシリコーンゴムPDMSの液圧室から成るマイクログリッパを提案, MEMSプロセスを用いて試作し, その動作を実験的に確認した. また, 管路内の流体慣性による液柱分離を利用し, 吐出行程だけでなく吸入行程でも吐出を行うことで高出力化を図った圧電マイクロポンプにより比較的粘度の高いERFをポンピングするため, 吸入側チェックバルブとしてマルチリードバルブを提案, 試作し, 高出力パワー密度化を実験的に確認した.
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