昨年度まで、特殊環境下で使用される狭隘作業機器に使用されるアクチュエータを、アクチュエータ周辺機器としてのセンサや構造体と一体化しながらマイクロ化をはかることを目的として、マイクロセンサ・アクチュエータの試作を進めてきた。これらを用いてシステムを構成し、システムを構成する各要素の検証を中心に、微細作業用および構造体姿勢制御用アクチュエータシステムの評価を行った。 1. 内蔵された磁気エンコーダを用いたマイクロ超音波モータの特性評価実験 : 圧電セラミックス振動子とGMRセンサによる微細作業用アクチュエータシステムの内蔵された磁気エンコーダを用いて、高い回転速度での速度制御、精度の向上のため、エンコーダの分解能を10極から20極へ向上し、これに必要な構造の変更を行って、ミニアチュアステージの駆動を行った。 2. 分析装置での利用を前提とした、光エンコーダとマイクロ超音波モータによる4T以上の強磁場下での駆動実験 : 光エンコーダとマイクロ超音波モータによるアクチュエータシステムの改良を行い、試作したアクチュエータシステムについて超電導コイルによる強磁場下において、回転数の増大をはかり、より高い磁場下での駆動実験を行った。固体NMR装置での測定に必要な、7Tの強磁場環境下での600rpmでの回転と回転速度制御を実現し、固体NMR信号の取得に成功した。 3. 生体内での利用を前提とした、チューブ内で微細作業用および構造体用アクチュエータを複数用いた駆動実験 : 構造体の姿勢制御用アクチュエータとして、光ファイバーによるエネルギー伝送を用いた形状記憶合金アクチュエータの改良を行った。光導波路形状を改良し、さらに2自由度アクチュエータの試作を行った。1自由度の駆動では、光源出力が49mWのとき、最大変位0.12mmであり、最大発生力3.5mNであった。このアクチュエータを用いて2自由度の駆動を実現した。
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