研究概要 |
本研究では, 微細三次元構造体を作製可能なX線リソグラフィ技術, メタライズ技術による精密金型の作製, および精密成形までのトータルLIGAプロセスの技術開発を進め, これまで実現し得なかった微細形状を有するマイクロコイルを作製し, マイクロアクチュエータへ展開するものである. 円筒形状の表面のような三次元形状に対してリソグラフィ技術による加工を可能とし, 微細線幅を有する螺旋構造を形成する技術を確立した. X線リソグラフィ技術により作製したレジスト微細細線間に銅をめっきにて形成する技術開発を進め, 電流路となる銅線をめっき技術にて作製した. 30μmの線幅に対して, アスペクト比2を超える銅めっきを形成できた. 銅めっきにてあふれた余分な膜をエッチングにて除去し, コイルラインを分離することでマイクロコイルを完成させた. さらに, 本年度は高アスペクト比微細構造体への新しいシード層の形成方法に無電解めっきを利用することで, 100μmを超える加工深さにおいても均一なシード層を得ることができた. 作製したマイクロコイルの評価も進めており, 電磁型アクチュエータの吸引力測定評価装置を作製し, シミュレーション結果との比較も行った. その結果, 作製したマイクロコイルは設計どおりに作製できていることが確認できた. 今後はマイクロコイルの小型化と, さらに吸引力向上を可能とする高アスペクト比マイクロコイルの設計・製作を進めてゆく. マイクロ・ナノ立体加工技術を確立できるトータルLIGAプロセスの技術開発を推し進め, ブレイクスルーを生み出す製造技術となることを目指すとともに, 電磁型アクチュエータ, マイクロコイルの作製プロセスにおける最適化を進め, 小型・高性能マイクロコイルの作製を目指す.
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