研究課題/領域番号 |
16079103
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日比野 高士 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (10238321)
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研究分担者 |
佐野 充 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90144097)
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キーワード | プロトン導電体 / ディーゼルNOx / 選択還元反応 / 混成電位 / 自己短絡 / 低温活性化 / 高室素選択性 / 炭化水素 |
研究概要 |
これまでの研究から、In^<3+>をドープしたSnP_2O_7が150-300℃で0.1Scm^<-1>以上の高いプロトン導電率を示し、中温作動NOx電解リアクターの有望な固体電解質になり得ることを示した。このリアクターの特徴として、Pt/C電極上でNOxが酸素よりも選択的に還元されること、及びPt/C電極にRhを添加することによってNOx分解の電流効率が数倍高まることが挙げられた。さらに昨年度においては、PtRh/C電極でNOxに対してポジティブな混成電位、また水素に対してネガティブな混成電位が現れることを利用した局所電池型触媒のコンセプトを提案し、NOx-水素-酸素系でその実験的実証を行った。具体的には、電解質粒子上にPtとRhを担持し、そこにNOx、水素、及び大過剰の酸素からなる混合ガスを供給すると、金属-電解質界面でナノサイズレベルの局所電池が形成し短絡することで、NOxが自発的に窒素へ選択還元された。 本年度においては、局所電池型触媒上でのNOx選択還元反応で、水素以外の還元性ガスとして炭化水素の使用を検討した。PtRh/Sn_<0.9>In_<0.1>P_2O_7触媒のTEM写真から、約200nmのSn_<0.9>In_<0.1>P_2O_7担体表面に5-20nmの金属触媒が担持されていることが分かった。この触媒に800ppmNO、1000ppmプロピレン、及び7%酸素からなる反応ガスを供給したところ、NO転化率は反応温度に対して二つのピークを持っていた。電気化学セルの結果から考察すると、低温側のNO還元は局所電池の短絡によって進行した反応であるのに対して、高温側のNO還元は通常の触媒反応によって起こった反応であると結論された。もう一つの重要な結果として、低温側のNO還元の方が高温側に比べてより高い窒素選択率を示していた。これは局所電池機構で進行する反応が通常の触媒反応よりも窒素選択性に優れていることを示唆する結果である。
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