研究課題/領域番号 |
16079202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
河村 純一 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50142683)
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研究分担者 |
神嶋 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90321984)
前川 英己 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60238847)
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キーワード | 有機無機複合体 / 有機アンモニウム塩 / メソポーラスアルミナ / 柔粘性結晶 / リチウムイオン伝導体 / プロトン伝導体 / ナノ細 / NMR |
研究概要 |
本研究は、有機無機複合体およびそれをテンプレートとして合成したナノ複合体を用い、従来に無いイオン伝導体を創製することを目的としている。 本年度は、有機無機複合体として、低分子量の有機アンモニウムハライドを含む柔粘性結晶およびガラスを作成し、その構造とイオンダイナミクスを検討した。一方、Triton X-114を用いて2~22nmの範囲で様々な細孔径を有するメソポーラスアルミナチャンネル体を作成し、溶融塩浸漬法によりヨウ化リチウムとの複合体を作成した。これらの物質について、電気特性とNMRによりイオン拡散挙動を調べた。 その結果、有機アンモニウム塩とその複合体の相転移・相分離・ガラス転移挙動は、極めて複雑・多様である。球に近い有機イオンを含む場合、分子鎖と分子全体の回転運動により柔粘性結晶(Plastic crystal)相を生成しイオン伝導度が増加する。その際、ハロゲンイオンのみならず、嵩高い有機イオンも一部は拡散している事がNMR測定から分かった。また、低温相の結晶ドメイン間に高温相が一部凍結し高い拡散係数を示す事も解った。これらの事実を説明するためプラスティック・ドメイン・モデルを提案した。 メソポーラスアルミナ・ヨウ化リチウム複合体のイオン伝導度は、細孔径が小さい程大きくなるものの、4~7nmで最大値を示しそれ以下では小さくなる事が見出された。50LiI-50A1203組成、細孔径4.2nmで最大値2.4×10-4S/cmの値を示した。これは、純粋なLiIの300倍、Lianらによる粉末混合体の20倍以上高い値である。一方、メソポーラスアルミナは水蒸気雰囲気下の室温で10^<-2>S/cm近いプロトン伝導性を示し、その値は細孔径が大きくなる程大きくなる事が分かった。
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