研究概要 |
イオン導電体の表面に動的に生成する非平衡状態を動的に把握することによりナノNEMCA効果発現の可能性を探ることを目的として以下の研究を行った。 (1)表面酸素ポテンシャル測定:微細プローブを用いた表面酸素ポテンシャル測定のために試料保持部観察窓を改良し均熱性を高めた。また(La,Sr)CoO_3モデル薄膜電極についてのペレット型プローブによる測定結果を詳細に解析し,薄膜の粒子サイズが重要な因子であることを明らかにした。反応の特異点の存在が示唆された。 (2)偏光変調高感度赤外吸収分光:(La,Sr)CoO_3モデル薄膜電極についてPMIRRAS測定を行い,バルクの振動の影響と思われる1000cm^<-1>付近の大きな吸収の他,表面吸着種に起因すると思われる1100cm^<-1>,1220cm^<-1>付近の小さな吸収を観察した。データの再現性およびピークの帰属についてさらに詳細な検討を加えている。 (3)イオンエミッション:CeO_2ペレットから真空中へのイオン放出電流から電子の寄与を分離し,放出電流がO-イオンによることを明らかにした。真空中のCeO_2表面での主な吸着イオン種がO-であること,また,ZrO_2との比較から,酸素雰囲気での表面酸素交換とイオンエミッションとの間の相関性が示唆された。 (4)(La,Sr)CoO_3の表面反応活性サイト:(La,Sr)CoO_3の表面反応活性サイトを探す目的で,同位体交換/SIMS分析を行い,熱分解によって生じた(La,Sr)_2CoO_4相と母相との界面近傍で表面反応が非常に活発に進行することが明らかになった。画像解析により,界面領域の気固反応速度が母相の約1000倍であることがわかった。当初計画の「ナノイオニクス修飾界面」のモデル系として,今後反応速度上昇の原因を探り,ナノNEMCAの可能性を検証したい。
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