研究概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の低温作動高出力密度化を主題とし、前半(16-18年度)は,(1)電解質のナノヘテロ構造化がイオン導電率に与える影響,(2)電極/電解質界面にナノレベルの界面第三層を挟むことの電極反応促進効果,(3)電極のナノヘテロ構造化が電極反応過程に及ぼす影響,(4)ナノヘテロ構造化が機械的な強度にどの様な影響を与えるか,を解明することを重点に進めている. 電解質:昨年度末にSrCeO3系プロトン導電に白金ナノ粒子を分散させるとプロトン導電性が殆ど消滅する特異な現象が見いだされた.本年度,共同研究者であった九州大学松本広重助教授の公募研究に引き継がれた. 電極/電解質:気相・電極・電解質3相界面で接する2固体表面の役割解明のため,in-situ顕微ラマン分光装置を開発してきた.本年度,CH4中でのNi/YSZ界面で、Ni上には主にグラファイトが、Ni/YSZ界面近傍においてはアモルファスカーボンが析出することを予備実験で見いだした.ヘテロ電極の反応性解析制御への新手法として期待される. 電極:昨年度,(La,Sr)CoO3空気極のナノ構造化が電極活性を昂進することを報告したのに続き,今年度はA03研究(ク)が報告している(La,Sr)CoO3と(La,Sr)2CoO4相とのヘテロ界面での表面反応速度の特異的増加が、電極性能向上に結びつくことを電気化学的に検証した. ナノヘテロ界面の機械的安定性:計測手法として,AE法を取り上げ,試作した平板型SOFC単セルの昇温時に得られた信号を基に波形解析を行った.試作セルでは、カソードの縦き裂とはく離、電解質における縦き裂の3種類の損傷パターンが見いだされ,応力解析を行った結果、解析による予測と実験結果が一致することが示された.本法がナノヘテロ界面の機械的安定性を評価する妥当な試験法であることが示された。
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