研究概要 |
1.ナノ・ヘテロ界面反応の設計・制御 ナノヘテロ構造の長期安定性の検討:燃料極用ニッケル-安定化ジルコニア系コンポジットを例として取り上げ,保持温度・繰り返し酸化還元と粒成長との関連を検討した.立方晶安定化ジルコニアを正方晶部分安定化ジルコニアに置き換えると,1200℃程度以上の高温においても30nm程度で粒成長が止まること,ESEMによるその場観察により,酸化還元によるニッケルの粒成長は表面や空隙に面した内表面で著しいが,安定化ジルコニア粒子に囲まれた状態では粒成長が抑制されるなど,ナノ構造保持のための新知見が得られた. コバルト系ペロブスカイト型酸化物カソード:このカソードにK2NiF4構造のコバルト系酸化物を分散させると高特性が得られる現象について,更に探求した結果,K2NiF4表面での酸素吸着解離,ペロブスカイト相内での酸素拡散,ペロブスカイト相からセリア系電解質への固相界面イオン移行,という高速反応経路が有力な反応経路として浮上してきた.この電極作製をより効率的に進めるために,新たにYAGレーザを導入したが,その本格稼働は年度末にずれ込み,本年度の成果は,スラリー塗布法により作製した電極によった. 2.ナノ・ヘテロ界面の機械的安定性 アコースティックエミッション(AE)法による機械的安定性評価:大阪大学との共同研究を進め,試験セル昇降温時にAE法で得られたデータを自己組織化マッピングの手法を融合して解析することで、亀裂発生の部位と時期を把握できることが実証された. 応力場による物性変化:SOFC実使用環境では材料、界面へ常に応力が負荷された状態となる。この応力環境下でのイオン導電性材料の導電率を測定した結果,安定化ジルコニアがMPaレベルの一軸加圧により,応力に1次の関係でパーセントレベルの導電率低下を起こすことが発見された.今後,ナノ・ヘテロ界面の電気化学特性と応力場との関係を更に深く探る予定である.
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