研究概要 |
イオン伝導体がイオンを取り入れ導電性を示す時、電極と導電体との界面、あるいは、それらと気体との三相界面近傍において電極反応に起因する電位分布が発生すると考えられている。そこで,本研究は,酸化物イオン伝導体をガス雰囲気中で電圧印加・加熱しながら、その内部の電位分布を電子線ホログラフィにより観察して、ヘテロ接触界面近傍における空間電荷層や表面電荷物理現象を解明し,燃料電池等ナノイオニクスデバイスの開発に資することを目的としている。 平成18年度および平成19年度11月までに,パルスレーザ蒸着法で作製したPt/GDC/Pt/Si薄膜試料に真空中,室温にて電圧を印加し,断面から電子線ホログラフィにより外部電圧印加前後の内部電位の変化を計測することで,界面における電気二重層を観察し,また,GDC(ガドリウムドープトセリア)中の酸素イオンやイオン空孔の不均一な濃度分希をin-situで直視できることを示した。また,九州大学工学院との協力で,プロトン伝導体であるSrZr_<0.9>Y_<0.1>O_<3-α>にPt粒子を埋め込んだコンポジット材料の界面についても高分解能電子顕微鏡と電子線ホログラフィにより原子構造や界面電位の観察を行った。 さらに,透過電子顕微鏡内での燃料電池のシミュレーションをより実際のものに近づけるため,透過電子顕微鏡内に酸素や水素を導入するためのガス導入システムを試作した。そして,本システムにより可能なガス流量と電子顕微鏡鏡体の真空度との関係を計測し,ガス雰囲気中での酸素イオンやイオン空孔の挙動を実時間で追うための予備実験を行った。
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