研究概要 |
酸化物系イオン導電体/酸化物・貴金属の異種接合界面を形成すれば、種々のガス種に対して特異的な応答が達成でき、センサ特性の飛躍的な改善や作動条件の大幅な拡大ができる可能性がある。本研究では、検知極材料の特性評価・制御を行うことにより、特異ガス検知機能の発現メカニズムを明確にし、これまでにない優れた特異検知機能を発揮する高度ガスセンシングデバイスを設計・構築することを目的として研究を進め、本年度は以下のような成果を得た。 1)検知極の作製・評価:スパッタ法を用いてAu薄膜をYSZ基板上に形成し、950℃で焼成することでセンサ素子とした。SEM観察により、Au薄膜(スパッタ時間:30〜720s)は焼成時に凝集し、島状に分散して存在していることを確認した。また、Auコロイド溶液(粒径:5〜80nm)を滴下して薄膜形成し、1000℃で焼成したセンサ素子も作製した。SEMおよびXPS測定結果より、金ナノ粒子はYSZ粒界に沿って拡散し、YSZ表面からごく浅い領域にAuのナノネットワークを形成していると考えた。 2)スパッタAu検知極素子の応答特性:スパッタ時間が120sの時にNO_2感度は極大値を示し、600℃において優れたNO_2選択性も得られることがわかった。 3)NO_2感度のスパッタ時間依存性:スパッタ時間がNO_2感度に与える影響を説明するために、スパッタ時間を30,120,480sとして作製した素子の分極曲線測定を行った。その結果、120sの場合には、NO_2のカソーディク反応活性は高いがO_2のアノーディク反応活性は低いため、得られる起電力(感度)が向上していると結論できた。 4)Auナノコロイド検知極素子の応答特性:5および30nmの金ナノ粒子を検知極に用いた素子を550℃で作動させることで、NO_2やC_3H_8にはほとんど応答せずに良好なC_3H_6選択性を示すことがわかった。
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