研究概要 |
イオン伝導体(混合伝導体を含む)と電極とのナノ界面においてイオンと電子のやり取りを制御することが出来れば、このユニークなナノスケールでの性質を利用した新たなナノ・イオニクス・デバイスやセンサの創製が期待される。本研究では、近年進歩が著しいナノプローブ技術等を用いて、ナノスケールでイオン伝導体や電極を構築して、そのナノ界面でのイオンや電子の動きを利用した新規素子の開発を目指す。 今年度は、昨年度に引き続き電気化学堆積法を用いて、ナノ界面構造を有する混合伝導体ナノワイヤの構築のための開発研究を行った。昨年度では直径20〜50nm程度までのナノワイヤの構築技術を開発したが、本年度では更に細い直径10nm以下のナノワイヤの構築することが可能になった。作製した様々なサイズのナノワイヤの電気的特性評価をプローブ顕微鏡等を用いて行い、これらナノワイヤがスイッチング特性を示すことがわかった。このスイッチング特性は、Ag_2Sワイヤ中におけるAg架橋の構築と消滅によって得られると考えられる。また、ナノワイヤ・アレイ構造を構築することにより、高密度のスイッチデバイスを作製することが可能であることが分った。更に、昨年度立ち上げを行ったプローブ法による複合光学評価(反射,発光,ラマン分光)を可能とする近接場分光システムを利用して、混合伝導体ナノワイヤにおける結晶性,組成,欠陥構造,サイズ効果等のナノスケールでの評価を進めた。特に、ヘテロ界面(混合伝導体/ナノ金属電極)における欠陥構造を含めた表面・界面構造の評価を中心に行った。この実験結果により、Ag_2S構造は、Ag_2Sワイヤ中とAg/Ag_2S界面では異なっており、Ag/Ag_2S界面付近では比較に乱れた構造をしていると考えられる。
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