研究概要 |
バルクReCo_5(Re:希土類元素)の磁気モーメントと交換相互作用エネルギーを密度汎関数法により評価し,実測値と良く一致することを示して原子レベルでの物性研究をスタートさせた。また,圧力誘起電子物性について研究し,CeAl_2における高圧下での電気抵抗率の測定から,高圧印加により量子臨界点が現れること発見した。さらに,強磁場下でNdFeB系磁石の焼結によりその保磁力が大幅に改善されることを見いだし,主相と粒界相との界面における原子レベルでの格子整合関係と関連してその起源を考察した。超磁歪材料については,Terfenol-Dの磁気・磁歪特性を計算機シミュレーションし,結晶粒径を限界値以下に微細化することにより,飽和磁歪値を損なうことなく軟磁性を飛躍的に改善できることを見いだした。 材料開発は以下の様に進めた。磁石材料については,新しいPLD法による超多周期Nd_2Fe_<14>B/Fe_3B積相型交換スプリング磁石の作製に成功し,高い最大エネルギー積が得られることを示した。超伝導材料については,ErBa_2Cu_3O_y(Er123)へのCeO_2とPtの適量の共添加が溶融凝固体の臨界電流特性の向上に著しい効果を示すことを見いだすと共に,溶融凝固体のc軸方向の結晶成長部分が特に超伝導性・臨界電流特性に優れることを明らかにした。熱電材料については,さまざまなReを添加したCa_3Co_4O_9(Ca349)を作製し,Re=Y,Sm,Tb,HoのときCaサイトの約25%を置換することが可能であることを発見し,熱伝導率を焼結体試料で実用レベルの約5分の1まで向上させた。また,Tb添加量と共に磁気異方性が強まることを見いだした。 以上の成果について,班会議(1月,長崎)で情報交換すると共に,全体成果報告会(2月,東京)開催時に来年度の計画打合せ会を開催した。
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