研究課題/領域番号 |
16080201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
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研究分担者 |
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40271994)
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キーワード | 希土類系物質 / パノスコピック形態制御 / 紫外線遮蔽剤 / 酸化セリウム / ソルボサーマル反応 / 酸化カルシウム固溶 / 雲母状チタン酸 / DNA損傷 |
研究概要 |
現在広く利用されている有機系紫外線吸収剤は人体への吸収により健康被害が懸念されることから、安全性の高い新規紫外線遮蔽材料としてナノサイズの酸化カルシウム固溶酸化セリウムの紫外線遮蔽能および人体に対する安全性評価をおこなった。一般に無機ナノ粒子は凝集が激しく、肌上に塗布した時の感触が悪い。無機ナノ粒子の肌上での感触を改善する手法として、雲母等の板状粒子との複合化が有効であるが、雲母は紫外線遮蔽能を有していないため複合化により紫外線遮蔽能が低下することが問題であった。そこで紫外線遮蔽能を有するレピドクロサイト型チタン酸リチウムカリウムの雲母状粒子のフラックス法による合成条件を探索し、モリブデン酸カリウムをフラックスとして用いると、化粧品用に汎用されている雲母と類似の形態を有する板状粒子を合成できることを明らかになった。また、得られた雲母状チタン酸リチウムカリウム粒子をカルシウム固溶酸化セリウムナノ粒子と複合化したところ、紫外線遮蔽能を損なうことなく、肌上での感触を向上できることが明らかになった。なお、無機系紫外線遮蔽剤は光触媒活性を有し、活性酸素を生成し、人体のDNAを損傷することが懸念されているので、紫外線照射によるDNAの損傷挙動について検討したところ、酸化亜鉛や酸化チタン存在下で紫外線照射するとDNAの螺旋構造が解劣するDNA損傷が速やかに進行したが、カルシウム固溶酸化セリウムナノ粒子は酸化亜鉛ナノ粒子や酸化チタンナノ粒子と異なり、DNA損傷を引起さず、人体に対する安全性に優れていることが明らかになった。
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