研究課題/領域番号 |
16080203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐久間 昭正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30361124)
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研究分担者 |
土浦 宏紀 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30374961)
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キーワード | 希土類系磁性体 / 3d遷移金属系磁性体 / 局所密度汎関数法 / 交換相互作用 / 磁気的相互作用 / 保磁力 / 希薄磁性半導体 / s-d相互作用 |
研究概要 |
1980年以降、MBEなどの薄膜技術の進歩に伴いII-VI族やIII-V族の化合物半導体中にCrやMn等の遷移金属元素を微量に添加した希薄磁性半導体(以下DMSと略記)の研究が行われるようになってきた。特にGaAsにMnを添加した(GaMn)Asにおいて100Kを越えるキュリー温度が得られるようになると、その強磁性発現機構に関する基礎的関心のみならず、新たな機能を有するデバイスとしての期待が急速な高まりを見せてきた。 このような磁性を有する半導体は、遷移金属元素だけでなく希土類元素によっても実現されることが期待されるが、そのためには磁性の発現機構を微視的立場から把握することが必要と考える。本年度我々は、単一サイト近似の基での汎関数積分法から希薄s-d系の強磁性的相互作用がどのような条件下(領域)で発生し、キュリー温度や電気抵抗などの特性にどの様な形で現れてくるか、更に希薄磁性半導体の強磁性がどのような角度から理解されるかを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、以下のことが示された。 1、希薄s-d系では混成によってdバンドがsバンドの端へ吐き出されるため、強磁性の発生はキャリア濃度が低い(フェルミ準位ε_Fがバンド端近傍にある)場合に制限される。 2、キャリア(ホール)濃度が低い場合、強磁性は混成前のd準位のエネルギーE_dがsバンドの中央付近かバンド上端付近にある場合に出現する。 3、上記の条件で特にE_dがsバンド上端近傍にあると、ハーフメタル状態が実現され、同時に局在スピン間の強磁性的交換相互作用が共鳴的に増幅される。この電子状態は(GaMn)As系の第一原理計算結果とよく対応する。 4、電気抵抗はd準位とs準位のエネルギー差とフント結合のランダムな分布の影響で、絶対零度においても残留抵抗として有限の値を示す。
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