研究概要 |
1.Nd-Fe-B系焼結磁石の強磁場プロセスの最適化 現有の磁場中熱処理装置を改造して,一回の実験で複数の試料について異なる保持温度の熱処理ができるように,multi-sample化した.また,強磁場磁化測定装置についても現有のシステムに加えて,一度に多数の試料の磁化が測定可能なmulti-sampleシステムを導入して測定の迅速化を実現した.これらの装置を用いて,Al, Cuの有無を変えて作製したDy無添加のNd-Fe-B焼結磁石について,140kOeの強磁場中で低温熱処理を行ない,保磁力H_cの変化を系統的に調べた.その結果以下のことが明らかになった. 1.磁場効果は,Cuのみを添加した試料ではT_a=500℃付近のとき,CuとAlの両方を添加した試料ではT_a=550℃近傍のときのみにそれぞれ磁場中保磁力比FCRが10%以上となり,顕著であることがわかった. 2.DSCの測定から,Cu添加の試料では500℃以上でNd-Cu液相が,Cu, Al両添加試料では550℃以上でAl-Cu液相が粒界に存在することを見出した. 3.Nd-rich相の磁化率の見積もりを行ない,Cu添加の試料で観測された磁場効果の起源を,粒界の液相中でのNd-rich固相の配列と関連して考察した. 2.薄膜作製プロセスによるモデル界面構造システムの創製 サファイア単結晶基板上を用いてエピタキシャル成長させたTa上にNd_2Fe_<14>Bを成長させることで,5μm程度の幅の微細組織を有するNd_2Fe_<14>Bの島状単結晶を得ることができた.更にこの試料上にNdを成膜した場合に保磁力が最大3kOe上昇することを見出した.
|