研究課題/領域番号 |
16080207
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小松 高行 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60143822)
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研究分担者 |
藤原 巧 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (10278393)
紅野 安彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (90283035)
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キーワード | 希土類原子加熱法 / ガラス / 結晶化ガラス / 形態制御 / ナノ結晶ドット / 単結晶ライン / 第二高調波発生 / 強誘電性 |
研究概要 |
本研究は、光非線形性を示す結晶ドット及び単結晶ラインをガラス表面に希土類/遷移金属原子加熱法で書き込み、形態や光機能(伝搬特性等)を明らかにすると共に次世代光波制御デバイスへと展開することを目的とするものである。今年度の研究で得られた成果を以下に示す。 ○レーザー照射の結晶成長速度を求め、希土類原子加熱法において品質の良い結晶ラインの形成には、レーザー照射による結晶成長速度とステージ走査速度をマッチングさせることが重要であることを見出した。また、屈曲を持つ結晶ラインにおいて、結晶方位は屈曲点直上で急激に変化するのではなく、屈曲後徐々に元の方位に対応していくことを明らかにした。 ○希土類原子加熱法をSm_2O_3-Gd_2O_3-MoO_4-B_2O_3系ガラスに適用し、強誘電性を示すβ'-Gd_xSm_<2-x>(MoO_4)_3結晶ラインの書込みに成功した。共焦点レーザー顕微鏡によるラインの形態観察から、レーザー照射条件とライン形態との関係を明らかにした。検討したガラス組成では、しかしながら、結晶の配向は確認されなかった。 ○Gd_2O_3-MoO_4-B_2O_3系ガラスに遷移金属原子加熱法を適用してβ'-Gd_2(MoO_4)_3結晶ラインの形成を試みた結果、希土類原子加熱法と比較して、容易に結晶ラインを書き込むことができ、しかも偏光ラマン散乱スペクトル測定から結晶ライン中の結晶は配向していることを明らかにした。 ○レーザー誘起原子加熱法を酸フッ化物ガラス系に適用し、SiO_2-Al_2O_3-Na_2O-LaF_3-NiOガラスにおいて、LaF_3から成る結晶ラインの形成に成功した。形成したラインのマイクロラマン散乱スペクトル測定から、しかしながら、ラインは酸化物ガラス中にLaF3のナノ結晶が分散した形態をとっているものと提案した。分岐ラインの形成やEr^<3+>,Tm^<3+>などの希土類イオンの添加によるフッ化物ナノ結晶から成る新規な光導波路や短波長レーザーなどへの展開に道を拓いた。 ○レーザー照射と化学エッチングの組合せによる新規な形態制御加工法を提案し、実際にBaO-TiO2-GeO2系ガラスにおいて数μm-数十μmサイズの内径を持つマイクロチャンネルの創製が可能であることを実証した。 ○希土類原子加熱法や遷移金属原子加熱法などのレーザー誘起結晶法におけるガラスの結晶化機構を提案し、通常の電気炉を用いたガラスの結晶化との違いを検討した。
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