研究課題/領域番号 |
16080220
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
棚瀬 繁雄 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (20357461)
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研究分担者 |
岩佐 美喜男 , 主任研究員 (00356528)
境 哲男 , 体長 (20357081)
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キーワード | 希土類 / 酸化物 / 固体電解質 / セラミックス / アパタイト / ランタン / ケイ素 / バリウム |
研究概要 |
希土類系酸化物固体電解質は、固体酸化物型燃料電池や酸素センサーなどの電解質として利用されているが、酸化物イオン導電性、熱的安定性、電極との両立性、経済性などに関して更なる改良が求められている。そこで、そのような観点から、ランタンを含むケイ酸アパタイト系の材料に着目し、その調製方法、導電性等を検討した。 ケイ酸アパタイト系の複合酸化物は、La2O3、SiO2、BaCO3などを用いて調製した。まず、それらを所定量秤量し、自動乳鉢で混合後、電気炉を用いて1650℃で20時間仮焼した。次に仮焼後の粉末を粉砕し、更に1650℃で20時間仮焼した。その後、再び粉末を粉砕し、200MPaの圧力でCIP成形して1680℃で10時間焼成し焼結体を得た。得られた焼結体について、X線回折や導電率測定などを行った。 酸化ランタンと酸化ケイ素の系では複合酸化物として、La2SiO5、La2Si207、La4Si3012、La10Si6027、及び、La9.33Si6026の存在がられている。これらの内、特にLa10Si6027とLa9.33Si6026は、アパタイト型の結晶構造を有し、前者では、La10Si6027の27個の酸化物イオンの内、1個の酸化物イオンが格子間に存在することが、また後者では、La9.33Si6026の内、Laサイトに空孔が存在することが予想されている。このようにアパタイト型のランタンケイ酸塩は、格子間イオンや空孔が生成しやすいという特異な性質を持っていることが分かった。 La9.33Si6026、La9.6Si6026.4、La10Si6027、及び、La12Si6030の内、La10Si6027が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)に匹敵する導電性を示すことが分かった。この系の物質の導電率は、導電の活性化エネルギーが低いことが特徴である。そのため、高温部では導電率がYSZより低いものの、低温部ではYSZよりも高い導電率になっている。このことから、アパタイト型の導電体は低温領域(500℃)で有望な電解質材料と考えられる。 次に、La10Si6027をベースにして、その導電率を高める方法として、LaをBaで置換する方法を考えた。その結果、このLa10-xBaxSi6027-0.5x(x=0〜1)系にある物質の内、x=0.6で更なる導電性の向上が認められた。
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