研究概要 |
新規な希土類系酸化物固体電解質の開発とその燃料電池への応用を目指して,ランタンを含むケイ酸アパタイ下系の材料に着目し,そめ導電性を検討するとともに,燃料電池に適しだ電極材料の探索を行った。 ケイ酸アパタイト系の複合酸化物は,酸化ランタン,酸化ケイ素等を出発物質として調製し,得られた焼結体について,交流4端子法による導電率測定を行った。また,その材料を電解質とした燃料電池では,カソード(正極)に空気を,また,アノード(負極)に30℃で加湿した水素を流して,800℃で電圧-電流特性を調べた。 La_9.6Si_5.7Mg0.3O_26.1を電解質とし,カソードとアノにドとも白金を用いた電池の開路電圧は,それぞれの酸素分圧から計算される理論起電力に匹敵する値であろたが,電池を放電した場合,電流密度の低い領域で急激な電圧の低下(活性化分極)が認められ,電流密度の中程度の領域での電解質等による抵抗分極も大きく,しかも,電流密度の大きな領域でガスの拡散に起因する拡散分極も認められたため,電池の最大出力電流密度(短絡電流密度)は100mA/cm^2に,また,電池の最大出力密度は20mW/cm^2に止まった。しかし,La_<10>Si_6O_<27>を電解質とし,カソードにLa_<0.9>Sr_<0.1>CoO_<3-δ>を,また,アノードにNi-SDCサーメットを電極とした電池の開路電圧は,理論起電力よりも0.15V程度高い値を示し,電池を放電しても,それぞれの分極が小さかったため,短絡電流密度は180mA/cm^2に,また,最大出力密度は50mW/cm^2に向上した。また,電解質をLa_<9.4>Ba_<0.6>O_<26.7>に変えた場合,導電率の向上により,短絡電流密度は230m/cm^2と,また,最大出力密度は65mW/cm^2と更に向上した。 以上の結果から,ケイ酸アパタイト系の電解質を用いた燃料電池の電極材料としては,白金よりも,カソードにはLa_<0.9>Sr_<0.1>CoO_<3-δ>が,また,アノごドにほNi-SDCザーメットが適しているごとが分かった。
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