研究課題
平成18年度は、実験装置の製作と平行して、ミュー粒子ビームの調整を行った。東京大学所有のCOBRA超伝導電磁石(PSI実験室に設置済み)を稼働させて、電磁石内中央まで毎秒10^8個のミュー粒子を輸送することに成功した。年度後半には、製作した一部の陽電子飛跡検出用ドリフトチェンバーと陽電子タイミングカウンターをCOBRA電磁石内に組み上げて、完全ではないが陽電子スペクトロメータを完成させた。その後調整を行ったミュー粒子ビームをスペクトロメータ中央に設置した薄膜ターゲットに静止させ、ミュー粒子のミッシェル崩壊を測定した。トリガー装置、データ収集用電子回路と測定器の調整はオシロスコープを用いて行った。測定器のヒット頻度・分布はシミュレーションによる予想通りであり、最高ビーム強度下においても、ドリフトチェンバーとタイミングカウンターは問題なく動作することを確認した。計算機システムを購入して、収集したデータを貯蔵して詳細な解析を行って、平成19年度後半に予定する本格的な陽電子スペクトロメータの運転に必要な知見を得た。液体キセノンガンマ線測定器も、陽電子スペクトロメータと同時にミュー粒子崩壊を使って最終調整作業を行う予定であったが、イタリアグループによる真空断熱容器の製作が遅れたため、測定器の組み立て・設置・立ち上げ作業は、関連経費を繰り越して平成19年度に行った。これらの作業は、陽電子スペクトロメータとミュー粒子ビームの準備作業を遅れさせることなく平行して行われ、予定通り9月一杯で完了した。測定器の較正に必要なNaI検出器の駆動装置は予定通り平成18年度内に完成して動作を確認し、平成19年度後半の本格稼働に備えた。
すべて 2006
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