研究課題/領域番号 |
16081205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
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研究分担者 |
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (30311335)
岩本 敏幸 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (20376700)
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キーワード | 素粒子実験 / 国際協力 / ミュー粒子 / 超対称性 / 大統一理論 |
研究概要 |
平成21年度前半4ヶ月間はMEG実験が行われているビームラインを他の実験グループが占有していたため物理データの取得は行われなかったが、その間検出器の改良作業、前年度に取得した物理データの解析等ビームを必要としない作業が集中的に行われた。まず前年度の探索実験において判明したドリフトチェンバーシステム高電圧回路の放電問題の原因究明とその対処が行われた。システムを担当するPSI研究所の海外協力研究者の調査により、放電は高電圧回路基板内に侵入するヘリウムガスにより引き起こされていることがわかり、再設計した基板に交換することで問題を解決することに成功した。これにより平成21年度の探索実験における陽電子検出効率は前年度の3倍程度まで改善されることとなった。並行して液体キセノン検出器に使用しているキセノンガスの入念な純化が行われ、前年度実験終了時に比べシンチレーション発光光量が40%以上改善、非常に安定した光量で平成21年度の探索実験を行うことが可能となった。こういった改善された検出器性能のもと平成21年11月から12月にかけて探索実験が行われ、前年度に比べ約2倍の統計量の物理データを取得、これまで行われた実験のおよそ2倍という前人未踏の実験感度を達成した。取得した物理データの暫定的な解析結果は平成22年7月のICHEP国際会議の招待講演で発表され国際的に高い評価を得た。 なお平成22年1月から3月に予定されていた検出器較正作業は、平成21年11月にPSI研究所の海外協力研究者により報告されたミュー粒子ビームパラメータが最適値からわずかにずれていた問題により翌年度に繰り越されていた。PSI加速器運転再開後平成22年8月にパラメータ変更後のビーム特性の詳細な測定が行われ、同8月に無事検出器較正作業を行うことができた。
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