研究概要 |
本年度は以下のような研究を行った。 ●弱結合テクニカラー理論を提唱した。具体的には、タイプIIA超弦理論において、D4,D8ブレインの配位により強結合ゲージ理論を構成し、そのゲージ/重力対応を考えることにより、非自明な5次元時空におけるヤン-ミルズ理論としてのテクニカラー模型を構成した。また従来のテクニカラーでは問題点であった、電弱スケールにおける精密測定実験との無矛盾性の検証もおこなった。 ●非コンパクト世代間対称性SU(1,1)を用いたカイラル3世代物質場を実現する理論において、ダウン型クォークと荷電レプトンの質量項の重点的な解析に取り組んだ。ヒッグス構造に関してミニマルな模型の問題点を指摘し、新たな多重項を導入することにより現実的な模型が構成可能であることを示した。またその模型におけるstrong CP問題の考察をおこなった。 ●世代間対称性S3の破れを導くスカラーポテンシャルの構造を解析し、クォーク質量行列のデータと照らし合わせることにより、ポテンシャルのあるべき形を系統的に模索した。 ●レプトンの世代混合角はTri-Bimaxima1型と呼ばれる特徴的な構造をもつことが明らかになってきた。統一理論における質量行列の解明を目指し、カスケード型行列のもつ現象を解析した。また高次元空間におけるカスケード型行列の実現へ向けた取り組みをおこなった。
|