1. ノンコンパクトな世代対称性を備えた超対称ゲージ理論にもとづくベクトル的大統一理論に関して、低エネルギー有効理論として、カイラルなクォークやレプトンおよびヒッグス粒子を実現できるゲージ群と物質場の表現の候補を詳細に検討し、その可能性と特性を分析した。 2. 素粒子の世代を支配する対称性として期待されるノンコンパクトなゲージ対称性を備えた超対称ゲージ理論について、理論の真空構造を調べることにより、最低エネルギー状態としての真空の安定性および粒子の量子状態のノルムの正定値性を実現する理論の枠組みが可能であることを示した。 3. ニュートリノ質量生成のシーソー機構では、右手型ニュートリノは結合が弱く、一般にその観測は難しい。一方で、高次元の様々なシーソー機構を構成し、将来実験において検証可能であることを明らかにした。とくに、LHCにおける3レプトン終状態のモードを重点的に解析し、右手型ニュートリノの観測可能性を議論した。また、ILCによる高次元測定の精度の研究を進めた。 4. 高次元時空のシーソー機構について、導出されるニュートリノ質量に対する時空の曲がりの効果を考察した。一般的な重力背景でのニュートリノ質量を評価した結果、計量因子は全体的な質量スケールにのみ現れ、その他には全く影響を与えないことを見出した。 5. 宇宙線中の反粒子束の近年の観測から、TeVスケール質量の暗黒物質が示唆されている。とくに崩壊する暗黒物質の場合、その特徴的な崩壊モードと寿命から、ニュートリノ物理との強い関連性を見出し、具体的なスカラー暗黒物質の理論構成、陽電子束の評価、宇宙残留密度の議論を行った。
|