研究課題
本計画研究では重心系エネルギー14兆電子ボルト(TeV)の陽子・陽子衝突実験における精密測定を行い、標準理論の検証および標準理論では説明出来ない現象を発見しようとするものである。標準理論を超えた予言は多岐に渡っており、超対称性粒子の存在以外にもLHCで探索可能なものが多数ある。代表的なものとしては以下のようなものが上げられる。今は素粒子と考えられているクォークには内部構造がある。ヒグス粒子と考えられているものは実は別なフェルミオンの複合粒子である。新しい重いベクターボゾンがある。空間は3次元より高い次元であり、余次元に付随した粒子がある。これら全ての現象は標準理論からの小さなズレとなって現れる。そのため標準理論の予言する現象は正確に理解しておく必要がある。量子色力学(QCD)反応による事象は大きなバックグランドとなるので、この反応の理解は特に重要である。本年度は物理解析を中心とした準備研究が主であった。高いオーダーのQCD反応の現在までに狸解されていることや何が不明確なのかの理論面からの整理を進めた。同時にシミュレーション研究の準備として事象発生プログラムの現状の整理に務めた。日本チームが当初から設計から製作まで参加担当してきたシリコン飛跡検出器は事象の正確な理解には不可欠なものであり、この検出器の運転に責任を持つ。運動量の測定のためには粒子が通過する物質量を正確に知っている必要がある。検出器の位置による物質量がどう変わるかより精度の高い見積りを出すプログラムの開発をおこなった。