研究課題
シリコン飛跡検出器(SCT)は昨年度末に地上にて、バレル部SCTと外側に来る遷移輻射飛跡検出器(TRT)とを合体し、'バレル部の内部飛跡検出器(ID)を完成させた。平成18年度初めに冷却システムやデータ収集のケーブルなどを繋込み、その後地上での宇宙線テストを実施した。テストしたモジュールについて99.4%のチャンネルが正常に動作している事を、ノイズについては設計値からの予想値とほぼ同じであることを確認した。さらに、宇宙線を使ってSCT飛跡検出器の検出効率を求め、約99%とほぼ設計値どおりであることも確認した。8月にはIDバレル部を地下実験場へ搬送し、アトラス測定器中央のソレノイド電磁石内へ設置した。11月より各種ケーブル類や冷却配管などの設置および接続を行い、コミッショニングに向けた準備を行った。データ収集システムでは昨年度に引き続き、イベントビルディング(測定器の各部から並列に来るデータを超高速でイベント毎にまとめる装置)開発の一環として、測定器のキャリブレーションやデバッグのための部分的なイベントフラグメントのみで生成されるパーシャルイベント生成の開発を行った。またエンドキャップ部ミューオントリガー検出器のトリガーとデータ収集系の組込を行った。具体的には、電子回路モジュールの据付、テスト信号、宇宙線などを用いた試験を行い、合わせてデータ収集用ソフトウエア、測定器パラメータのデータベースの開発も行った。物理解析関係では、実験開始を控えより精密な測定器シミュレーションを行い、本番の実験での解析方法のパフォーマンスを評価する事に力点を置いた。Geant4によるATLAS測定器シミュレーションプログラムによるシミュレーションデータを系統的に生成し、これらのデータを元に実験開始初期における解析の戦略についてのレポートを準備した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Nuclear Instruments & Methods in Physics Research A565
ページ: 538-542
Nuclear Instruments & Methods in Physics Research A568
ページ: 642-671
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Nuclear Instruments & Methods in Physics Research A569
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