研究課題/領域番号 |
16082206
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 直亮 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (00127317)
|
研究分担者 |
徳永 和俊 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40227583)
渡辺 英雄 九州大学, 応用力研究所, 准教授 (90212323)
岩切 宏友 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80325480)
森下 和功 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80282581)
時谷 政行 九州大学, 核融合科学研究所, 助教 (30455208)
|
キーワード | アルファー粒子計測法 / ヘリウム照射損傷 / プラズマ・壁相互作用 / プラズマ対向材料 / ヘリウム・欠陥相互作用 / タングステン |
研究概要 |
核燃焼プラズマ閉じ込め装置や核融合炉でのタングステンダイバータにおけるヘリウム照射効果は1000℃を超える高温でのヘリウムバブルの挙動が鍵を握るものと考えられることから1000℃以上でのヘリウムイオン照射実験を集中的に行った。詳細な電子顕微鏡観察からヘリウムバブルの移動合体が表面に網目状の溝構造をもたらし、炉で問題になるような高い照射量ではこれが発達してサブミクロンの小枝状の突起構造を形成することがわかった。このような表面の激しい凹凸化は耐熱負荷特性を極端に損ない、大きな損耗やダストの発生源となり、炉の運転に重大な障害となることが予想される。金属におけるヘリウムバブルの形成は本質的な現象であるためこれをいかに抑制するかは簡単な課題ではなく、新たな視点からの材料開発を含めた更なる研究が必要であることがわかった。この分野の今後の重要かつ緊急の課題である。 核融合科学研究所の大型高温プラズマ閉じ込め装置(LHD)においてプラズマのレーザー偏光計測に用いられたリトロ反射鏡では、この鏡が持つ独特の凹構造により凹部での不純物(鉄、クロム、酸素など)の集中的な堆積が起こることがわかった。水素放電(主放電)下での光反射率の低い酸化物(Fe(Cr)O)形成、ヘリウムプラズマ(グロー放電洗浄)による微細バブルの発生、真空リークを契機とする表面の激しい凹凸化などが、反射率低下の要因となっていることが堆積層の透過電子顕微鏡による断面観察などから明らかになった。この成果を元に反射率が低下し難いリトロ反射鏡の開発を進めており、LHDでの検証段階にある。ここで用いた断面層観察手法は本科研費による研究において確立したもので、一般的なプラズマ-壁相互作用の研究にも飛躍的な進展をもたらしている。
|