研究概要 |
今年度はトカマク装置で計測を行なうため新たに赤外線カメラ(FLIR Omega)をJT-60Uへ設置した.JT-60U本体室内への赤外線カメラの設置に関しては,設置場所への残留磁場が計算結果より0.3Tであるため,軟鉄による磁気シールドが必須でありLHDでの経験則から6mm板でシールド箱を作成した.また,中性子による検出器の劣化も無視できないため,30mmのポリエチレンによる中性子シールドを併用した. 信号伝送系は赤外線像のアナログ出力とカメラ制御信号を含むデジタル出力があり,いずれも約100m伝送のため光信号に変換し,光ファイバーによる伝送系を含む.信号同期のずれによる問題からデジタル系は今後改良が必要であり,今回は2004年度のJT-60Uプラズマ実験時にアナログ系のみによる測定を実施した. 軽水素放電時の放射損失測定では,既存の抵抗型ボロメータによる全放射損失2MW以上においてダイバータ板近傍の周辺プラズマ領域の分布が観測された.また,NBI加熱時に画像が乱れる現象があり,原因については今後検証を行なう. なお本研究に関連して,下記のような出張,および招聘を実施した. 2004年11月,芦川がthe ITPA Divertor and SOL meeting(ポルトガル,リスボン)に参加し,第一壁における中性子の影響に関して情報収集を行なった.今後損失アルファ粒子計測を行なう上で,炉の第一壁への入射量などを概算する上で有益な情報となる. 2005年1月,Alekseyev博士(TRINITI,ロシア)がNIFSに滞在し,プロトタイプのマルチ薄膜の開発に関する打合せ,および熱海で開催した第一回「プラズマ燃焼のための先進プラズマ計測」シンポジウムに参会した.本シンポジウムには,Petersonおよび芦川も参加し,現状に関し報告した. 2005年3月,Petersonがthe 8^<th> ITPA Diagnostics Topic Group meeting(英国,カラム)に参加し,開発経緯,および計画に関して報告した. 2005年2月から3月にかけて,Liu博士(西南物理科学研究所,中国)がNIFSに滞在した.Liu博士は2005年度にNIFSでの長期滞在で本研究に参加することを予定しており,その準備として信号較正法の改善を目的としたレーザ径分布計測機器の組み立て,トモグラフィー法に関するコードの改良を行なった.
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