研究課題
国際核融合実験炉(ITER)等における燃焼プラズマの物理特性を把握するためにはプラズマ内部における核融合反応で発生したアルファ粒子の速度分布関数、空間分布の計測が不可欠であるが、その計測法は未だ確立されていない。このような状況をふまえ、JT-60では炭酸ガスレーザーを用いた協同トムソン散乱法の開発を進めている。平成17年度の研究成果は以下の通り。[1]協同トムソン散乱計測の光源として、工業用の横方向放電励起大気圧レーザー(出力4J、20Hz)を元に、高出力・高繰返し周期のパルス炭酸ガスレーザー(波長10.6□m)の設計・製作を進め、出力10J、周期10Hzのレーザーの開発に成功した。これを用いる事により、時間分解能とSN比の向上が可能となり、JT-60プラズマを用いた測定原理の実証に向けてレーザー性能が大きく向上した。また、ITERに適用可能となるレーザーの見通しを得た。[2]開発した炭酸ガスレーザーのプラズマによる散乱光スペクトルデータを得るためのデータ収集装置の設計を行った。これによりJT-60ならびにITERにおいて、協同トムソン散乱のデータ収集が可能になった。この設計を元にしたデータ収集装置の製作を平成18年度に行い、原理実証実験に使用する。[3]ITERでの協同トムソン散乱計測は、散乱角が0.5度と小さいために、空間分解能が約1mとなり改善が求められている。そこで、低域混成共鳴を利用した散乱配位を検討した。トカマクの磁場によるサイクロトロン運動を取り入れたレーザーの散乱スペクトル計算を行い、磁力線方向に対するレーザーの入射角度を最適化した。その結果、磁力線に対する角度が約90度の時、散乱角が約1度で低域混成共鳴による強い散乱強度が得られることを示した。この測定と従来の測定を同時に行うことで、より詳細なアルファ粒子分布が得られることが明らかになった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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9th IAEA Technical Meeting on "Energetic Particles in Magnetic Confinement Systems"
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