研究概要 |
ダイニン・微小管系の研究では,18年度に行ったヌクレオチド非存在下での構造研究に加え,ADP・vanadate存在下での低温電子顕微鏡像を得ることに成功して画像データを集積し,分担者安永とともに画像解析を行った。これにより,現在広く信じられているモデルとは異なり,これらの2っの状態間でストークの角度は変わらないこと,頭部とストークの位置が尾部に対して変化することがわかった。キネシン・微小管系では,JSPS外国人特別研究員として来所したSindelar博士の協力のもと,単粒子法による立体構造解析のプログラムを設置,我々の試料に適合させるための改変を行い,以前の方法と比較して解析に要する時間を大幅に短縮できることを確認した。アクチン・ミオシン系ではミオシンVIの三次元構造をATPの有り無しのいずれの構造もとき,レバーアームの動きが存在することを示した。アクチン・ミオシン硬直複合体に関しては,らせん対称性による構造解析に単粒子解析を加えたシステムを構築し,次の構造解析を進めている。軸糸ダイニンに関して,原子モデルとフィッティングし,その鞭毛内での配置を検討した。トモグラフィーによる構造解析も傾斜によるデフォーカス補正を考慮して,3次元像を再構成できるソフトウェアを開発した。さらに,三次元再構成法も改良し,ミッシングエリアを考慮した三次元像を得ることに成功した。また,構造分類法を改良し,注目する領域のコントラストを挙げ,その領域で分類できるようなシステムを作成した。
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