研究課題/領域番号 |
16083201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
樋口 秀男 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90165093)
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研究分担者 |
佐々木 一夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50205837)
岩根 敦子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30252638)
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キーワード | 細胞 / モータータンパク質 / 1分子 / CdSe / ナノメートル計測 |
研究概要 |
心臓・血管・筋肉などの筋細胞や非筋細胞で機能するミオシン2は、1分子で機能せず、集合体を形成し機能する。そこで、この集合体の機能を理解するため、筋収縮機能に着目し、骨格筋ミオシン1分子の機能解明からその糸口を導こうという動きが現れてきた。その結果、ミオシン1分子は5-20nm動き、1-3pNの力を出し、エネルギー効率が5-20%であることが判明した。しかし、これらの値は筋肉での計測から得られた効率(30-50%)より相当下回るものであった。この原因として、1)ミオシン1分子が抽出された非生理的な環境化での計測ゆえ、生体内での挙動を十分に捉えられていない、2)ミオシンの微小な動きを捉えられる時間・空間分解能がない。そこで我々は、筋肉内構造に近い状態での1分子の挙動を捉えるために、ミオシン2-6分子程度がアクチンと相互作用可能なミニフィラメントを人工的につくった。また通常使われるビーズより数倍直径の小さい200nmのビーズをアクチンに結合させ、そのビーズ像を斜光照明による暗視野画像として得ることにより、高時間・空間分解能(数nm・ms)を実現した。その結果、ミオシン1分子は6nm程度の変位で、最大10pN発生することが判明し、ここから見積もられるエネルギー効率は、過去の1分子計測で得られた値よりもはるかに高く、筋肉の計測から見積もられた特性と合致した(図1c)。従って、ミオシン数分子中における1分子の力学計測を高時間・空間分解能で行うことによって、ミオシン1分子の中に筋肉の特性が見えてきた。
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