研究課題/領域番号 |
16083202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内田 隆史 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80312239)
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研究分担者 |
内田 千代子 茨城大学, 保健管理センター, 助教授 (80312776)
原田 昌彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70218642)
高橋 勝彦 昭和大学, 薬学部, 講師 (80307066)
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キーワード | Pin1 / プロリン異性化酵素 / アミロイド / リン酸化 / タウ / リチウム / 微小管 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
本年度我々は以下の2つの研究を行った。 1.プロリルイソメラーゼPin1のアルツハイマー病発症において果たす役割の解明; アルツハイマー病発症に関わるAβの前駆体であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)にPin1結合モチーフであるリン酸化Thr668-Proが存在する。我々は、Pin1がこの部位に結合してAβの産生に関わっているという仮説を立て証明した。Pin1ノックアウトマウスの脳やマウス胎児より調製した線維芽細胞(Pin1-/-MEF)を含む実験系を用いて、Pin1がリン酸化Thr668-Proを介してAβ切断後のAPP産物であるC99に結合し、次のγ切断すなわちAβ産生を促進することを明らかにした。さらに、リチウムのアミロイド産生抑制作用機構にもPin1が関与していることを示した。リチウムがAβ産生を抑制するADの治療薬候補としてにわかにクローズアップされているが、そのメカニズムに関しては不明であった。我々が発見したPin1の新規機能は、リチウムによるAβ産生抑制の仕組みの解明に役立つ。 2.GAS-7の神経軸策伸長機能とアルツハイマー病への関与; Pin1と共通モチーフを持つ、Growth Arrest Specific-7(GAS-7)に注目した。正常脳では、全ての神経細胞がGAS-7を発現しているが、AD患者脳の、異常リン酸化タウの蓄積している神経細胞では、GAS-7の発現が著しく減少していた。GAS-7はADに関与する新規分子である可能性を示唆した。また、最近、GAS-7のタウへの結合のみならず、微小管重合にどのように関わるかについて検討を進めている。
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