研究概要 |
1、細胞核に局在するアクチン関連タンパク質(Arp)の解析 ヒトの細胞核に局在するアクチン関連タンパク質のそれぞれについて、細胞核内での詳細な局在やダイナミクスを観察し、核内アーキテクチャー構築への関与を解析した。核内Arpについては、その細胞内局在を詳細に解析すると共に、クロマチン免疫沈降法でタンパク質間相互作用を検出した。その結果、Arp6.Arp8とNuMA (Nuclear Mitotic apparatus)との相互作用が検出され、核内Arpが遺伝子転写制御のみならず、細胞核の構築や染色体分配にも関与することが示唆された。また、Arp6がHP1(heterochromatin protein1)との相互作用を介して、転写抑制や染色体分配に関与することを示した。 2、トポイソメラーゼIIの解析 ラット小脳顆粒神経細胞の初代培養系を用いて,分化過程の細胞で起こる遺伝子発現変化に対するDNAトポイソメラーゼIIβ(トポIIβ)の影響を調べた.トポII阻害剤の非存在/存在下での5日間の培養期間中におけるmRNA発現量をマイクロアレイで網羅的に解析し,減少(<0.5),不変(0.5<,<2),増加(2<)を指標として10種類の遺伝子グループに分類した.このうち,発現が誘導され,トポII阻害剤で誘導が阻害される(即ちトポIIβに依存して発現誘導を受ける)遺伝子群(A1)は,誘導される遺伝子の約25%(全体の3%)を占めていた.A1遺伝子群にはイオンチャンネルや伝達物質のレセプターなど,神経活動に必須な遺伝子が有意に多く含まれていた(Gene Ontologyによる解析).一方,ラットゲノム上に同定したトポIIβの作用点288個は,AT含量が高く長い遺伝子間領域に有意に多く,トポIIβにより制御されるA1遺伝子群とは遠く離れた位置にマップされた。
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