研究課題/領域番号 |
16084202
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 宏 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (30241392)
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研究分担者 |
大隅 圭太 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (20221822)
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キーワード | アフリカツメガエル / クロマチン / ヒストン / 細胞周期 / 膜透過化細胞 / 無細胞系 / 翻訳後修飾 / シャペロン |
研究概要 |
転写や複製、ゲノム恒常性維持機構などの核機能を理解するためには、クロマチン構造構築の基本原理とその制御機構を明らかにする必要がある。そこで、生細胞でヒストンダイナミクスを可視化し、アフリカツメガエル卵抽出液を用いた再構成系などにおいて再現することで、高次クロマチン構造の構築とダイナミクスの制御機構を明らかにすることを目的として研究を進めた。研究代表者の木村は、ヒストン修飾特異的モノクローナル抗体を作製し、蛍光標識したのち、培養細胞に導入することで、生細胞のヒストン修飾を可視化することに成功した。特に、ヒストンH3 Ser10(H3S10)のリン酸化に着目し、蛍光標識抗体を用いて細胞周期に伴うヒストンリン酸化のダイナミクスを解析した。ヒストンH3S10のリン酸化は分裂期の凝縮した染色体で見られることが分かっているが、生細胞解析の結果、がん細胞ではリン酸化が染色体凝縮の直前に起こるのに対して、正常細胞ではG2期から起こることが明らかになった。また、aurora Bの阻害剤を添加するとG2期のリン酸化が消失したことから、G2期のリン酸化はリン酸化と脱リン酸化のダイナミックなバランスで維持されていると示唆された。さらに、G2期にリン酸化を受ける染色体からヘテロクロマチンタンパク質HP1が解離していたことから、G2期のリン酸化は高次クロマチンの再編成に関わると考えられた。分担者の大隅は、複製したDNAのヌクレオソーム形成におけるヒストンH3・H4シャペロンの動態と役割を特異的抗体による免疫除去系を用いて解析した。その結果、CAF-1の除去ではヌクレオソームの規則的配列に乱れが生じること、並びに、Asf1の除去では新規ヌクレオソーム形成が起こらなくなることが示された。一方、N1の除去はヌクレオソーム形成に影響を与えなかったことから、CAF-1とAsf1は複製されたDNAのヌクレオソーム形成に重要な役割を果たしていると示唆された。
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