研究課題
本研究課題では、細胞核の重要な高次構造の1つである核膜孔複合体に焦点を当て、この複合体の重要な機能である核-細胞質間蛋白質輸送の制御を指標にして、その分子構築ならびに分子動態を明らかにすることを目的として研究を進めた。近年、核-細胞質間蛋白質輸送に関する研究は急速に進展し、輸送の基本的メカニズムの理解はかなり進んだ。しかし、核蛋白質/輸送因子複合体がどのように核膜孔を通過するのか、また、1つの核膜孔を蛋白質が互いに干渉を受けずに両方向性にどのように通過するのかという点はほとんど解析されていない。そこで、本年度は、先ず、核膜孔複合体が細胞の環境変化に応答してどのように動態変化を示すかを明らかにするため、細胞間接着に応じて核膜孔が変化するかどうかを解析できる実験系の構築を目指した。その結果、MDCK細胞を用いることにより、細胞接着の有無により核膜孔の動態を解析できる系の開発に成功した。さらに、核-細胞質間蛋白質輸送の方向性を保証している分子であるRanに着目し、そのサイクルに重要な役割を果たしているRanGAP(Ran GTPase activating protein)がSUMO化を受けて核膜孔に局在することが知られているので、RanGAPに焦点を当て、その分子動態を解析するとともに、核内外の輸送がRanGAPの動態変化に対応してどのように変化するかを解析することを目的として研究を進めた。その結果、RanGAPがcasein kinase IIによってリン酸化を受けることを発見し、リン酸化がRanGAPの細胞内局在に変化を与える可能性が示唆された。このリン酸化はSUMO化と直接関係ないこともわかり、RanGAPがリン酸化によっても動態が調節されていることを示唆する興味深い結果であり、今後、このリン酸化による動態変化と核膜孔物質通過効率との関連を追及していく予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (14件)
J.Virol. (印刷中)
Cancer Lett (印刷中)
Genomics (印刷中)
EMBO J. (印刷中)
Genes Cells (印刷中)
J.Biol.Chem. (印刷中)
Genes Cells 9
ページ: 429-441
Exp.Cell Res. 297
ページ: 285-293
EMBO J. 23
ページ: 1934-1942
J.Cell Biol. 165
ページ: 617-623
J.Biol.Chem. 279
ページ: 34038-34047
ページ: 36228-36234
Hybridoma and Hybridomics 23
ページ: 301-304
J.Biol.Chem 279
ページ: 47473-47479