前年度に導入した多数の蛍光波長を検出することが可能な顕微鏡を用いたマルチカラー免疫蛍光抗体法の確立を行った。直接蛍光抗体法と間接蛍光抗体法を組み合わせることにより、現在対比染色を含めて6種類の蛍光色素を用いた核内ドメインの同時検出が可能となった。この手法を用いて、さまざまな核内ドメインの局在関連の解析を、特に過剰発現されたRAD51が形成するフィラメント状の核内構造体との位置関係の解析を中心に進めている。また、ゲノム修復関連蛋白質が形成する核内ドメインの解析には、核内の限局した領域にDNA2本鎖切断を導入可能な紫外線マイクロ照射法と組み合わせることにより、より詳細なゲノム損傷部位へのゲノム修復関連蛋白質などの集積機構の解明を進めている。 核内ドメイン形成の足場構造と関連すると考えられるRAD51蛋白質が形成する核内フィラメント状構造体の生化学的解析を行うために、FLAG-HA-RAD51安定発現細胞株の樹立を行った。現在、この細胞株を用いたRAD51蛋白質複合体の解析を進めている。 紫外線マイクロ照射法と生細胞実験系を組み合わせることにより、現在ゲノム損傷応答におけるゲノム損傷関連蛋白質の動態解析を進めている。特に、Fluorescence Recovery After Photobleaching(FRAP)法のみならず、iFRAP法、PA-GFP融合蛋白質を用いてゲノム修復蛋白質の野生型や変異型のゲノム損傷応答における蛋白質動態の詳細な解析を進めている。
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