研究課題/領域番号 |
16084208
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
原口 徳子 独立行政法人情報通信研究機構, 基礎先端部門生物情報グループ, 主任研究員 (20359079)
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研究分担者 |
平岡 泰 独立行政法人情報通信研究機構, 基礎先端部門生物情報グループ, グループリーダー (10359078)
古川 和広 新潟大学, 理学部, 助教授 (40229109)
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キーワード | 核膜 / クロマチン・染色体 / 細胞核 / 細胞増殖 / ダイナミクス / 生体分子イメージング / 細胞生物学 |
研究概要 |
本研究は、細胞核機能維持に重要な構造体である核膜の構造と、そのダイナミクスの解明を主な目的としている。そのため、核膜と染色休め双方に結合し、核膜と染色体機能の双方を調節する生体因子としてBarrier-to-Autointegration Factor (BAF)に注目し、ヒト細胞とショウジョウバエを用いて、その機能とダイナミクスの検討を行った。ヒト細胞でBAFの機能を検討するために、RNAi法を用いて発現するBAFの量を減らし、細胞周期での影響を調べた。RNAi法では、BAFを本来の約15%の量に減らすことができた。BAFは線虫やショウジョウバエで必須遺伝子であることが分かっているが、BAFノックダウン細胞は致死とならず、細胞増殖を続けることが分かった。しかし、そのdoubling time は長くなり、特に細胞周期のS期が遅延することが分かった。その時の核膜の構造を調べたところ、本来、核膜にあるべきlamin A やemerinが細胞質にdisassembleしていることが分かった。ショウジョウバエでは、BAF null変異体は三齢幼虫後期または前蛹初期で致死になることが分かっているが、異常が出る前の二齢幼虫の中枢神経組織や成虫原基組織ですでに変性が生じていることが分かった。特に成虫原器ではアポトーシスが高頻度で観察されることからアポトーシス過程でのBAFの動態を調べたところ、アポトーシス初期にDNA結合性のBAFが選択的に消失することが分かった。これらの結果から、BAFは、細胞周期、胚発生、アポトーシスなどの生命現象において、核構造の形成・維持に重要な機能を持っていることが明らかとなった。
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