研究課題/領域番号 |
16085204
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三村 徹郎 神戸大学, 理学部, 教授 (20174120)
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研究分担者 |
前島 正義 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80181577)
深城 英弘 神戸大学, 理学部, 助教授 (80324979)
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キーワード | 液胞 / シロイヌナズナ / 生体膜輸送系 / H^+ポンプ / プロテオーム / イオンホメオスタシス / Caイオン / Znイオン |
研究概要 |
細胞内低分子環境は、無機イオンや代謝物質の濃度・分布として、細胞内で生じるあらゆる生理機能の基盤的要素である。植物は、オルガネラや細胞の機能や形態を様々に分化させることで、外部環境の変化に柔軟に適応しているが、この環境適応能の理解において、細胞内低分子環境が外部環境の変化に応じてどのように維持されているかを知ることは基本的に重要である。本研究では、この細胞内環境の維持に働くオルガネラの内、特に液胞および液胞小胞に注目する。塩ストレス・栄養塩ストレスなどの環境変化に対して、液胞・液胞小胞系における低分子輸送機構がどのように分化し、どのように制御されているかを明らかにしていくことで、植物細胞の環境適応能を支える細胞質低分子環境制御の分子機構の全体像を描き出すことを目指す。本年は以下の3つの項目を中心に研究を進めた。 ・高塩環境下における液胞への塩蓄積機構の解析:シロイヌナズナ培養細胞を用いて、塩処理により液胞周辺にNa+を蓄積する小胞を複数確認するとともに、中心液胞が一過的に大きくなることを確認した。 ・イノシトールリン酸代謝とイノシトールリン酸化物の液胞への蓄積機構:シロイヌナズナ培養細胞にIP_6を合成させる系を確立した。IP_6は、小胞系を介して合成が進み液胞に蓄積される可能性が示唆されている。そこで、生合成の最終段階に働く酵素(IPK1)の細胞内局在をGFP融合タンパク質で確認したところ、細胞質基質での局在が確認された。 ・Ca^<2+>および亜鉛集積と液胞ダイナミズムの解明:Ca^<2+>の細胞質濃度調節を支える液胞膜のCa^<2+>H^+交換輸送体(CaX)とCa^<2+>結合タンパク質、微量必須元素である亜鉛を液胞に輸送する分子(MTP1)、ならびにH^+-ピロホスファターゼ(H^+-PPase)の生理機能と構造、発現調節を解析し(1)CAX1aが主要な液胞膜分子種であること、CAX1a遺伝子は高濃度Ca^<2+>環境で誘導されることを見出した。(2)液胞中に存在する新規Ca^<2+>結合タンパク質(RVCaB)を解析した。(3)液胞膜亜鉛輸送体(MTP1)が液胞膜のプロトンポンプが形成するpH勾配を利用するZn^<2+>/H^+交換輸送体であることを証明した。(4)液胞膜H^+-PPase遺伝子の欠失により生育不良、液胞膜H^+-ATPaseの活性化などが生ずることを見出した。
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