研究課題
RNA編集は、遺伝情報をRNA上で書き換えるものであり、植物では、プラスチドとミトコンドリアで頻繁に見られる。植物のRNA編集では、特定のC残基がUに変換されるが、そのサイト認識には、編集部位周辺の20-30塩基(シス因子)が必要であること、またそのシス因子に結合するトランス因子の存在が示唆されていた。我々は、本特定領域研究で、トランス因子がPPRタンパク質と呼ばれるRNA結合タンパク質であることを明らかにしてきた。昨年度は、RNA編集に関わるPPRタンパク質CRR4とCRR21の比較から、両タンパク質のN末のPPRドメインが特定のRNA配列の認識に、またC末の保存性の高いE/E+ドメインはRNA編集に一般的な機能(編集酵素との結合?)に関わることを示した。本年度は、このC末ドメインの機能を明らかにするために、このドメインを高発現させた植物を解析した。植物は、RNA編集に一部異常を示し、多くのラインが芽生えの状態で枯死した。焦点は、このドメインとの結合タンパク質単離の生化学であり、植物が致死になる問題を解決するため、一過性発現の系を模索中である。今年度、プラスチドのRNA編集の異常な変異株を新たに二つ単離した。今後、RNA編集装置のモデルは、このPPRタンパク質の構造も考慮に入れる必要があり、ドメインの機能解析を開始した。タバコ属植物で、ndhD-1サイト編集効率の違いが報告されている。これらの植物からCRR4をそれぞれ単離し、シロイヌナズナのcrr4変異株に導入することで、この効率の違いがCRR4の配列の違いに起因することを明らかにした。RNA編集効率の低下にも関わらず、ndhDの発現はこのタバコ植物で充分であり、進化の過程でPPRタンパク質であるCRR4の機能低下が許容されてきたことが明らかになった。
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Plant Signaling & Behavior (印刷中)
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