研究課題
本研究では、葉緑体のライフサイクル全体からみたプラスチド分化機能の全体を把握することを目的とし、特にこれまでに不明の点が多い以下の2つの過程、すなわち、(1)花粉形成時におけるオルガネラおよびオルガネラDNAの挙動、(2)葉緑体分化時におけるチラコイドの形成、を解析するため、突然変異体のスクリーニングと遺伝子の単離を試みることとした。1.花粉形成時におけるオルガネラおよびオルガネラDNAの挙動と変異体のスクリーニングこれまでにシロイヌナズナの成熟花粉を押しつぶしてDAPI染色によりオルガネラDNAを観察する手法を確立しており、この方法により成熟花粉においてオルガネラDNAが残存して存在する変異体を今年度は探索した。通常、野生型では成熟花粉の細胞質には殆どDAPI染色が見られないが、シロイヌナズナで約5,000のM2個体の花粉をスクリーニングした結果、栄養細胞の細胞質にDAPI染色が観察される変異体が得られた。これらの個体では、DAPI染色の強度とそれらの頻度が一定ではなく、それらのデータに基づき3つの変異系統に分類することができた。2.葉緑体分化に関する変異体のスクリーニングと原因遺伝子の解析我々がこれまでに解析を進めている斑入り突然変異var2は、チラコイド膜のタンパク質分解に関わる主要なATP依存プロテアーゼFtsHの1つ(FtsH2)が欠損している。この変異体において葉が斑入りを示すのは、FtsH2がチラコイド膜形成に関わる重要な因子であると考えている。斑入りを起こす分子機構とチラコイド分化を詳しく調べる目的で、var2をEMS処理したM2世代から斑入りを回復するサプレッサー系統(Suppressor of var2; sv2)を選抜し、それらの遺伝要因を調べることにした。
すべて 2005
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