研究課題
ヒメツリガネゴケで細菌由来のペプチドグリカン合成系遺伝子(Mur genes)のMurEおよびPbpの遺伝子破壊を行うと巨大葉緑体が出現することを見いだしている。これらの巨大葉緑体の形質は、それぞれ正常な遺伝子を一過的に導入することで相補された。PpMurE遺伝子破壊ラインにPpMurE遺伝子の葉緑体移行シグナルを付加した藍藻MurE遺伝子を一過的に導入したところ、巨大葉緑体の形質が同様に相補された。またシロイヌナズナにもMurE遺伝子(AtMurE)が存在するため、PpMurE遺伝子を破壊する形でPpMurE遺伝子内にAtMurE遺伝子を導入したところ、多数のラインでは巨大葉緑体の形質が生じたが、3ラインについては部分的に葉緑体数の回復が起きていた。Mur以外の葉緑体分裂に関連する遺伝子の解析としては、ヒメツリガネゴケにおいて2種類の葉緑体型ダイナミン遺伝子を同定した。これらの遺伝子破壊を行ったところ、二重変異体では分裂異常により葉緑体数が野生型の半分以下にまで減少していた。タバコで見いだした、ほぼ同一の2つのDNAポリメラーゼI相同遺伝子(NtpolI-like1/2)は、DNAポリメラーゼ活性測定、GFP融合タンパク質ならびにウエスタン解析の結果から、色素体とミトコンドリアの両方に輸送されるDNAPであるとの結果を得ている。タバコ培養細胞BY-2の両オルガネラから単離したDNAPは抗NtpolI-like抗血清で処理するとDNAP活性が免疫前血清処理に対し11-16%まで低下した。単離オルガネラ核のNaCl可溶化画分を2D-PAGEで分離し抗NtpolI-like抗体を用いたウエスタン解析を行なったところ、色素体核サンプルでは単一のスポットが検出されるのに対し、ミトコンドリア核では等電点の異なる複数のスポットに分離することが分かった。
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