研究課題/領域番号 |
16085208
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高野 博嘉 熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 教授 (70242104)
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研究分担者 |
滝尾 進 熊本大学, 沿岸域環境科学教育研究センター, 教授 (60188109)
酒井 敦 奈良女子大学, 理学部, 准教授 (30235098)
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キーワード | 葉緑体 / ミトコンドリア / オルガネラ分裂 / オルガネラ間相互作用 / コケ植物 |
研究概要 |
ペプチドグリカン(PG)合成系遺伝子であるMur遺伝子群がコケ植物の葉緑体分裂と関連することを見いだしている。本年度は新たにヒメツリガネゴケMraY遺伝子(PpMraY)の解析を進め、PpMraYが葉緑体に局在しており、その遺伝子破壊により葉緑体分裂が阻害されること、藍藻アナベナのMray遺伝子で遺伝子破壊の形質を相補できることを明らかにした。ヒメツリガネゴケのPbp(Penicillin-binding protein)遺伝子破壊ラインの巨大葉緑体の形質は、同様にアナベナのPbpによって相補され、PpPbpの機能活性部位に変異を導入すると相補できなくなることから、コケと藍藻のPbpは同様の機能を持つことが示唆された。PpPbp遺伝子破壊ラインの生理機能について、各種ストレス下での成長や光合成能の解析を行ったが、今のところ顕著な変化は見られていない。一方、シロイヌナズナのPG合成系遺伝子の一つAtMurEは色素体コードのRNAポリメラーゼによる葉緑体遺伝子の転写に関与していた。また、PGの分解に関与する遺伝子も葉緑体に関連しており、そのT-DNAタグラインは薄緑色の葉を持っていた。 タバコ培養細胞BY-2を用い、細胞増殖のごく初期におけるDNAポリメラーゼ(DNAP)遺伝子の転写レベルでの発現制御がオルガネラDNA合成の制御に重要であることを見いだしている。このオルガネラ内でのDNA複製および遺伝子発現の場がオルガネラ核である。ヒメツリガネゴケおよびBY-2から単離したオルガネラ核の構成タンパク質について、TOF-MS解析により同定を進めた。また、BY-2単離オルガネラ核をミクロコッカルヌクレアーゼで処理することにより、オルガネラ核におけるヌクレオソーム様構造の存在を示唆するラダー状のDNA分解パターンを見いだした。
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